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電気自動車(EV)は災害時に非常用電源になる?給電方法や事例について解説

2026.04.14

電気自動車(EV)は災害時に非常用電源になる?給電方法や事例について解説

#蓄電池利用
充電スポット 日産サクラ 日産アリア

大きな地震や大雨などによる自然災害はいつ発生するかわかりません。そうした災害により大規模な停電が発生したとき、あなたとご家族の生活を守る電源を確保する方法はお持ちですか?

実は、EV(電気自動車)は単なる移動手段ではなく、災害時に有効な「動く蓄電池」としても注目されています。家電製品を動かし、スマートフォンを充電し、ときには避難所の電源として地域を支えるといった可能性を秘めているのです。

この記事では、災害時にEVをどう活用できるのか、給電方法や実際の事例、マンション居住者が知っておくべき防災のポイントまで解説します。「もしも」に備える新たな選択肢として、EVの可能性を探ってみましょう。

1. 災害時にEV(電気自動車)が非常用電源になる?

災害時の深刻な問題のひとつが、停電です。そんな時、EVは非常用電源としての役割を果たします。

EVのバッテリー容量は車種によりますが20kWh~100kWhであり、家庭用蓄電池(5kWh~20kWh程度)の数倍の大容量を誇ります。このバッテリーから電力を取り出すことで、スマートフォンの充電や照明の点灯はもちろん、冷蔵庫や電気調理器具など災害時に必要な電化製品を動かすことができます。

実際、近年の災害対応ではこの特性に着目した自治体やメーカーによる非常用電源としてのEV活用が広まっています。

2. EVから電力を取り出す3つの方法

災害時、EVから電力を取り出す方法は大きく分けて3種類あります。それぞれに特徴があり、所有する車種や用途によって最適な給電方法が異なります。ここでは、車内コンセント、V2H、V2Lという3つの給電方法について詳しく見ていきましょう。

2.1. 車内のコンセント


日産リーフ 車内コンセント

※日産リーフの例




最も手軽な給電方法は、車内に搭載されたAC100Vコンセントの利用です。多くのEVでは標準装備または選択オプションとしてコンセントが設置されており、災害時に即座に活用できます。

給電能力は車種によって異なりますが、一般的に100V/1,500W程度が多く、スマートフォンの充電や照明のほか、ノートパソコンや小型テレビなども動かすことができます。

なお、この機能はPHEVにも搭載されています。PHEVの場合は車種によりガソリンエンジンでの発電が可能なものもあり、車両の給電モードを起動の上で延長コードで家電を接続すれば、非常用電源となります。




2.2. V2H(Vehicle to Home)クルマから家に給電


V2H イラスト

※日産リーフの例




V2H(Vehicle to Home)とは、EVと住宅の電気設備を直接つなぎ、双方向で電力をやり取りする住宅用エネルギーシステムです。専用の充放電設備を接続することで、EVのバッテリーを家庭用電源として活用できます。

最大の特徴は、多くのV2Hシステムで約6kWという高出力の給電が可能な点です。これは一般家庭の電力需要をほぼカバーできる容量のため、冷蔵庫やエアコン、電子レンジなどの大型家電も同時に使用できます。日産リーフなどの対応EVと連携すれば、停電時に自動でEVから家全体への給電に切り替えられる製品もあります。

高性能ゆえにV2H本体と工事費を含め100万円前後が相場で、初期費用はかかりますが、国の補助金(最大65万円※)や自治体の補助制度を活用することで実質的な負担を軽減できます。

なお、V2Hは主に戸建て住宅向けのシステムです。マンションへの導入にはスペースの確保や共用部分の改修、管理組合の承認などのハードルがあるため、マンションにお住まいの方はより手軽な「V2L」という選択肢をおすすめします。

※出典:一般社団法人次世代自動車振興センター「令和6年度補正・令和7年度当初予算 V2H充放電設備の導入補助金(住宅系)」




2.3. V2L(Vehicle to Load)クルマの電気を車外で使う


AC外部給電コネクター 日産リーフの例

※AC外部給電コネクター 日産リーフの例




V2L(Vehicle to Load)とは、車両の充電口に外部給電コネクターなどの専用機器を接続し、車から外部へ給電する仕組みです。

V2Lには主にDCタイプとACタイプの2種類があります。DCタイプは車両のDC充電ポートを使用し、専用の変換器で交流に変換して給電します。一方、ACタイプは車両側に搭載された変換機能を活用するため、より手軽に外部給電が可能です。外部給電コネクターは標準装備されているケースが多く、基本的には追加投資なしで利用できます。

出力は機器によって異なります。
例えば、画像のような外部給電コネクターであれば1.5kW程度が一般的ですが、可搬型給電器(V2L対応機器)を使用すれば、最大9kWといった高出力での給電も可能です。

共用部へ設備導入が難しい集合住宅では、V2Lが有効な災害対策となります。車両から直接電気を取り出せるため、管理組合との調整や承認手続きを経ずに利用できる可能性があります。

シーンとしては、キャンプや屋外イベントなどのさまざまな場面でも利用でき、EVの多目的活用を実現する技術として注目されています。

災害時にこれらの給電機能を確実に活用するためには、日頃から車に十分な電力が蓄えられていることが必要不可欠です。いざという時に「バッテリー残量が少ない」という事態を防ぐためにも、自宅での充電環境を整えておくことは重要な防災対策といえます。

日産自動車では、一戸建てのみならず、マンションなどの集合住宅へのEV充電器の導入もサポートしています。詳しくは以下のページも併せてご覧ください。

>>電気自動車(EV)を自宅で充電するメリットと充電設備設置の手順をご紹介

3. 蓄電池利用が可能な日産EV

日産自動車は早くからEVの災害時活用に着目し、さまざまな給電機能を搭載した車種を展開しています。日産リーフを始めとする各モデルはそれぞれ異なる給電機能や特徴を持ち、災害時には電源としての役割を担います。

日産の電気自動車ラインアップについては、こちらをご覧ください。

>>日産のEVラインアップはこちら

4. EVの電力は停電時にどれくらい使える?

EVのバッテリーは、災害時に長期間の電力供給が可能です。
例えば、新型日産リーフB7(78kWhバッテリー、使用可能容量約75kWh)のケースでは、一般家庭の最小限生活電力(1日約7kWh)をまかなうと約10日間、変換ロスなどを考慮しても8日〜9日間の供給が理論上可能です。


【具体的内訳】

● LED照明(0.01kW):24hで0.24kWh/日
● 冷蔵庫(0.2kW):24hで4.8kWh/日
● スマートフォン充電:0.015kW/回
● 炊飯器:1.5kWh/日
● 洗濯機:0.4kWh/日


参考:三重県防災対策部「家庭でできる停電の備え」

使用優先順位を決めて計画的に運用することで、EVは災害時の強力な「動く蓄電池」として力を発揮します。

5. EVの電力を利用する場合の注意点

EVを非常用電源として活用する際には、いくつかの注意点があります。安全かつ効果的に電力を利用するために、車両側と使用する電気製品側、それぞれの観点から押さえておくべきポイントを解説します。正しい知識を持ち、いざというときに安心して電力を活用できるようにしましょう。

5.1. 給電する車両側の注意点


EVから給電する際の安全確認ポイントは以下のとおりです。


注意ポイント 説明
バッテリー残量 多くの EV はバッテリー保護のため低残量で給電停止するので常に残量を把握する。
車両状態の確保 必ずパーキングに入れ、パーキングブレーキ作動。電源は説明書に従い「Ready(走行可能)」状態などにする。
給電場所と環境 必ず屋外で使用し、雨天時は防水対策を徹底する。
換気の確保(PHEV の場合) 車内コンセント使用時は窓を少し開けて換気する。
純正のケーブルやアダプターの使用 充電ケーブルや給電アダプターは必ず純正品または適合品を使用する。
事前点検 使用前にケーブル類の損傷がないか必ず確認する。


これらの注意点を守ることで、EVの電力を安心して活用できます。




5.2. 使用する電気製品側の注意点


EVから電力を供給する際は、接続する電気製品にも注意が必要です。
まず、使用する電化製品の消費電力を確認し、EVの最大出力を超えないようにしましょう。特に起動時に大きな電力を必要とする電子レンジなどは注意が必要です。

また、延長コードを使用する場合は定格容量を確認し、太さが十分なものを選択しましょう。複数の電化製品を接続する場合は、合計消費電力を常に意識して管理することが大切です。

その他、防水性のない電化製品をやむを得ず屋外で使用する場合は雨や水濡れを保護し、使用後は必ず電源プラグを抜くことも忘れないでください。

6. 実際の災害事例から見るEVの有効性

近年の大規模災害時には、実際にEVが動く電源として被災地で大きな役割を果たしています。ここでは、実際の事例からEVの災害対応力と社会貢献の可能性を見ていきましょう。



6.1. 2019年台風15号・台風19号


2019年9月の台風15号、そして10月の台風19号は、広範囲へ甚大な被害をもたらしました。

特に千葉県では台風15号の影響で最大64万戸が停電し、一部地域では復旧まで2週間以上を要する事態となりました。

そこで日産自動車は、日産リーフ53台と可搬型給電器をセットで被災地に緊急派遣。これらは、各避難所や高齢者施設に配備され「動く発電所」として役割を果たしました。避難所での照明確保や携帯電話の充電はもちろん、医療機関での医療機器への電力供給、扇風機やクーラーの電源にも利用されました。特に高齢者施設では、エアコンの稼働が厳しい残暑の中での熱中症予防に大きく貢献しました。


出動を待つリーフと可搬型給電器

出動を待つリーフと可搬型給電器



また、台風19号により千曲川の氾濫など大きな被害を受けた長野県においても、日産リーフ4台がボランティアセンターに派遣され、現地の復旧活動を電力面から支えました。

これらの事例を通じて、「EVはいざという時のライフラインになる」ということが広く知られ、多くの自治体が災害協定の一環としてEVメーカーとの連携を強化するきっかけとなりました。

参考:日産EV「令和元年台風15号 千葉県大規模停電における日産自動車の支援について」

参考:日産EV「停電時に活躍する電気自動車」

参考:日産ストーリーズ「日産の電気自動車が災害復旧に貢献」



6.2. 2024年1月 能登半島地震


2024年1月1日に発生した能登半島地震では、道路や港湾などのインフラが破壊され、石川県を中心に多くの地域で長期停電が発生しました。この危機的状況下で、EVは改めてその真価を証明することとなりました。

地震により、多くの地域で給油所が営業停止に追い込まれ、ガソリン車の燃料確保が課題となるなか、EVは電気を運ぶという独自の役割を果たしました。被害の少ない地域で充電をおこない、支援物資とともに被災地へ向かい、到着後はそのまま非常用電源として活用されました。

日産自動車も被災地に日産アリアや日産リーフなどを無償貸与し、これらの車両は避難所での照明確保や通信機器の充電、さらには医療機器の稼働を支えるライフラインとして活躍しました。

7. マンション(自宅)防災の新常識!基礎充電の重要性

災害はいつ発生するか予測できません。EVを非常用電源として活用するためには、基礎充電の習慣が重要です。

基礎充電とは、自宅や事業所などで車を駐車している間に充電をおこなうことを指します。特にマンションでは、災害時に共用の充電設備が使えなくなる恐れがあります。そうした状況でも、あらかじめEVに十分な電力を蓄えておけば、緊急時に即座に給電を開始できます。帰宅後すぐに充電することを習慣化する、週末は80%程度まで充電しておく、などのルールを決めておきましょう。

地震大国日本のマンション生活では、この日頃から基礎充電を習慣化しておくことが、いざという時の備えとしてますます大切になっていきそうです。

EV充電器の導入に関するお悩みや設置手順、コストのシミュレーションなど、具体的にご相談されたい方はぜひ以下のページをご覧ください。

>>電気自動車(EV)を自宅で充電するメリットと充電設備設置の手順をご紹介

8. マンションでもEV充電器は設置できる?導入に向けたポイント

マンション所有者にとって、EV充電設備の導入はハードルが高く感じられがちです。
しかし近年、防災意識の高まりと補助金制度の充実により、集合住宅でのEV充電環境の整備が進んでいます。ここでは、マンションでEV充電器を導入するためのポイントを見ていきましょう。

8.1. 国や自治体の補助金を活用する


マンションへのEV充電設備導入の最大の障壁は導入コストですが、実は手厚い公的な支援があります。

例えば、経済産業省の「クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てんインフラ等導入促進補助金(令和6年度補正・令和7年度当初予算)」では、集合住宅(既築分譲)向け普通充電設備(6kW以上・ケーブル付き充電設備)の場合、機器費50%(上限35万円)と工事費100%(上限95万円)が補助されます。

出典:経済産業省 令和6年度補正予算・令和7年度当初予算「クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てんインフラ等導入促進補助金」「V2H充放電設備/外部給電器」の導入補助金の概要」

さらに、多くの自治体が独自の上乗せ補助制度を設けており、これらの補助金を組み合わせることで、マンション側の実質負担を大幅に削減できるケースも珍しくありません。

なおこの補助金申請は、管理組合やオーナー名義でおこなうことが一般的ですが、居住者ご自身一人で情報を集めるのではなく、充電サービス事業者にお任せするという方法も存在します。お任せすれば、ワンストップで補助金の申請のお手伝いをしていただけます。年度ごとに内容が変わる煩雑な補助金制度の最新情報の確認を含めてお任せすることができます。充電サービス事業者については、以下のページよりご確認ください。

>>電気自動車(EV)を自宅で充電するメリットと充電設備設置の手順をご紹介

またEV充電器を設置する際に利用できる補助金制度については、以下の記事でも詳しくご紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。

>>「【マンション向け】電気自動車のEV充電器の設置費用はいくら?補助金や費用削減のコツを解説」を読む

8.2. 「防災力」をアピールして管理組合の合意を得る


マンションでの充電設備導入では、管理組合の合意形成がカギとなります。
ここで重要なのは、EVの利用者のための設備ではなく、マンション全体の防災力を高める共有資産としての価値をアピールすることです。

具体的には、災害時にEVから共用部への給電可能性(V2L活用)を示し、エレベーターホールの照明確保や集会所での携帯充電スポットの設置など、全居住者に恩恵がある使い方を提案するのも一つです。また、防災に強いマンションは将来的な資産価値向上につながる点も有効な説得材料となります。防災訓練でのEV給電デモンストレーションなど、具体的な防災活用イメージを共有することも効果的です。

実際、関西の某マンションでは、防災意識の高い住民の提案から充電設備の導入が実現したケースもあります。導入後は先進的な環境対応マンションとしての評価が高まり、不動産価値の維持にも貢献したと報告されています。

参考:京都市「京都市内における EV 充電設備導入事例(マンション編)」

これらの管理組合との合意形成においても、補助金の申請と同じく充電サービス事業者にお任せすることが可能です。

>>電気自動車(EV)を自宅で充電するメリットと充電設備設置の手順をご紹介

9. まとめ

EVは、「走る蓄電池」として災害時の強力な電力供給源となります。車内コンセント、V2H、V2Lといった多様な給電方法があり、状況に応じて最適な方法を選べば1週間以上の電力確保も可能です。

EVを所有することは、移動手段を得るだけでなく、家族と地域の災害対策強化にもつながります。日常の備えが、いざというときの安心を生み出すのです。

日産自動車では、戸建てのみならずマンションなど集合住宅へのEV充電器の設置もサポートしています。補助金の申請や管理組合との合意形成等に関しては、充電サービス事業者にお任せいただけます。
ご自宅にEV充電器の導入をご検討の際は、ぜひ以下のページを併せてご覧ください。
>>電気自動車(EV)を自宅で充電するメリットと充電設備設置の手順をご紹介