
2021.02.22
電気自動車用としての役目を終えたリチウムイオン電池、JR東日本の踏切保安装置用電源に生まれ変わる。
#リーフ #EV関連ニュース #技術 #蓄電池利用2010年に発売された日産リーフ(ZE0) バッテリーの再利用が進んでいます。
フォーアールエナジー(以下「4R」)とJR東日本は
4Rが提供する電気自動車の再生バッテリーを、踏切保安装置の電源として活用する。
と発表しました。
踏切保安装置の電源にバッテリーに電気自動車の再生バッテリーを活用することで、低コストで、環境にやさしい電源装置を実現するとしています。
4Rエナジーとは
日産は、住友商事さんと合弁で、電気自動車で使ったバッテリーの再利用をするための会社をつくっています。
設立は日産リーフの発売2010年12月より早い2010年9月です。
4Rとは、以下の4つの活動を表しています。
再利用(Reuse)
高い残存容量を持つバッテリーの二次利用を促進
再製品化(Refabricate)
バッテリーパックを分解した後、お客さまのニーズに合うよう再度パッケージング
再販売(Resell)
バッテリーを様々な用途のために再販売する
リサイクル(Recycle)
原材料を回収するために使用済みバッテリーのリサイクルを行う
再生バッテリーの使い道は3つ
測定・評価されたバッテリーモジュールは残存性能によって、大きく3つに分けられます。
性能が良いものから
(1)再度EVの駆動用バッテリーとして使われるもの
(2)フォークリフトやゴルフカートなどで使われるもの
(3)事業所・店舗・工場用などの定置型バックアップ電源として使われるもの
というように、目的を変えて再利用されます。
今回ご紹介するのは、(3)のひとつになります。
リーフの再生バッテリーが踏切のバックアップ電源に
電気自動車バッテリーの踏切保安装置電源への再利用イメージ
今回の取り組みの概要
踏切の制御を行う保安装置には、一時的な停電時に動作を継続できるよう、全ての踏切にバッテリーを設置しています。従来バッテリーには鉛蓄電池が使われていましたが、このバッテリーを鉛蓄電池から電気自動車の再生バッテリーに置き換えるというのが今回発表された取り組みです。
期待される効果
従来から踏切保安装置に用いられている鉛蓄電池に比べて、充放電性能が高く、かつ安定したバッテリーが低コストで導入できることから、踏切の電源の安定性が向上します。
さらに、バッテリーの劣化を事前に把握することが可能となるため、より適正な取替計画を立てることができます。
また、電気自動車の再生バッテリーを利用することで、コバルト、ニッケルといったバッテリー資源の効率的使用を促進し、併せてバッテリー製造時の温暖化ガス低減にもつながります。
※1 保持容量40%から100%までの充電時間
※2 停電の頻度によって異なる
今後の展開予定
2021年4月以降、常磐線、水戸線の10踏切程度に導入箇所を拡大して効果を見極めた後、さらなる導入拡大を目指していくとのことです。
さらに拡がる再生バッテリーの活用
電気自動車で使われたバッテリーは、電気自動車用としての役目を終えた後も、役目を変え、人のため、地球環境のために働き続けます。日産リーフ発売開始から10年、再生バッテリー活用のサイクルは、回り始めたばかり。再生可能エネルギーとの組み合わせての活用など、今後もその活用は拡がり続けます。今後もご注目ください。
参考リンク
・「日産リーフ」と中古バッテリー活用の「定置型蓄電池」を組み合わせた新たなソリューション