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ノルウェーの電気自動車の大躍進は、国家の化石燃料依存と矛盾している

2021.03.03

ノルウェーの電気自動車の大躍進は、国家の化石燃料依存と矛盾している

#EV関連ニュース

電気自動車関連の国内外のニュースをご紹介します。今回の記事はイギリスのガーディアン紙の記事を全文翻訳でお届けします。


ノルウェーの昨年の電気自動車販売台数は、ガソリン車、ハイブリッド車、ディーゼルエンジン車を合わせた販売台数を世界で初めて上回り、新しいデータによると、バッテリーの電力のみでモーターを駆動する純電気自動車(BEV)が、2020年の最後の数カ月の車両販売台数の3分の2を占めました。

ノルウェーは世界でも最も野心的なグリーン目標を掲げており、イギリスよりも5年早い2025年までに、すべての化石燃料車の新車販売を段階的に終了する計画です。

ノルウェーは石油と天然ガスの収益によって世界有数の富裕国となった国であり、石油への依存度が高い国でもあります。そして、世界がゼロ・エミッションを目指して化石燃料をますます拒絶する中でさえ、さらなる生産に固執している点には大きな矛盾があります。

ノルウェー政府は、脆弱な北極圏の領域での油田探査免許を競売にかけている一方で、2030年までにカーボンニュートラルな国立の自動車パークを目指しています。政府は、この野心的な目標や来年から公的機関がゼロ・エミッション車のみを調達するという宣言などを含む、気候に関する国家計画を提出しました。

ノルウェーは今でも世界有数の石油産出国ですが、電力の90%以上を水力発電でまかなっています。この点を考えると、ノルウェーが電気自動車の導入でこのような勝利を治めている理由が見えてきます。つまり、川や滝が干上がらない限り、自動車にも適用できる動力源が無限にあるのです。集落間の距離が非常に遠く、冬の寒さが極端に厳しいノルウェー北部でさえ、電気自動車の拠点が広がっています。

ノルウェー電気自動車協会のトップであるChristina Bu氏は次のように述べています。「昨年秋には、ノルウェー最北地区であるトロムス・オ・フィンマルク県の自動車市場で、電気自動車は最大40%のシェアを獲得しました。」

その成功の裏には長期的な政治戦略があるのです、とBu氏は言います。「これはすべて補助金のおかげだと考える人もいるかもしれません。しかし、そうではないのです。私たちが望まないものには課税し、望むものを推進する、それがすべてです。」

ノルウェーは、自動車などのぜいたく品にかかる税金が世界でも非常に高い国です。そのため、自動車への減税は、数々のインセンティブとともに自動車購入者にとって間違いなく魅力です。以下のような、さまざまなインセンティブや免除が用意されています。

・ 車両購入税免除(EUの車両購入価格の平均が26,000~29,000ポンドに対して、ノルウェーでは車両購入税が価格を押し上げるため、平均価格は43,000~46,000ポンドです。)

・ 付加価値税(VAT)免除 - 通常は25%

・ 道路使用税免除

・ 一部の市営駐車場での駐車料金無料

・ 社用電気自動車減税(化石燃料車両よりも低率)

・ 一部地域で通行料金割引または無料

・ 乗客を乗せている場合はバスレーンの走行可

・ 一部の駐車場、通行料金、フェリー運賃半額

この野心的な政治戦略は、ノルウェーの電気自動車の生産を促進し、CO2排出量を削減するために導入された1990年代後半にさかのぼります。

この政治戦略はすべてうまくいっているわけではありません。外国の自動車メーカーにとっては嬉しいことに、ノルウェー製のBEVはいまだに存在感がありません。しかし、電気自動車の販売台数は急増しており、2012年には総販売台数の3%だったものが、2020年には54%に達しています。ノルウェーの道路では280万台の車両が走っている中、26万台以上がBEVであり、全体の9%近くを占めています。ノルウェーでは来年、40近くのBEV新型モデルが市場に登場する予定です。この数字は化石燃料車やハイブリッド車の数を上回ります。

「ノルウェーは確かにこの業界に道を開きました。」と語るのは、緑の党の国会議員で、TEDグローバルスピーカーであり、BIノルウェービジネススクールの助教授、さらには心理学者でもあるPer Espen Stoknes氏です。彼の最新の著書は気候変動対策の心理学について書かれています。

Stoknes氏は、ノルウェーの国立BEVパークの拡大プロセスを「グリーン・タックスシフト」と表現し、正しいことに集中すれば、どの国でも実現できるとの考え方を示しています。また、心理学者として、特に人口密度の高い都市における社会的圧力の影響を強調しています。

「その圧力とは、流行に乗り遅れまいと人が考える現象で、統計的に証明することが可能です。つまり、だれかがBEVを購入すれば、近所の人もそれに追随する可能性が高いのです。その現象は「あなたよりグリーン」であることを競う争いへと発展する可能性があり、競争においてはいつものように、嫉妬が強力な推進力になります。」

イギリスと同様に、ノルウェーにとって大きな課題は充電スタンドを全国に設置することです。現在、ノルウェーには急速充電スタンドが3,200カ所あり、約10社が運営していますが、各社が急速充電器のさらなる開発に取り組んでいます。特に交通量の多い日にはBEVが長蛇の列を作る中、充電器が故障しているといった問題がいまだに解消されていません。Bu氏は次のようにも述べています。「より信頼性の高い充電器の開発を継続的に奨励しなければなりません。」

電気自動車の販売が増えれば増えるほど、批判の声は小さくなります。しかし、BEVは局所的には環境に優しい一方、地球規模で見ると依然として気候フットプリントが大きいのです。BEV用バッテリーの製造には高価なレアメタルが必要であり、使用済みバッテリーや壊れたバッテリーの安全な処理が問題となっています。どちらの問題も、世界のコバルトの60%を産出するコンゴ民主共和国のように、そうした問題に対処するための法律がない貧しく脆弱な国々に都合よく押しつけられているのです。

この記事は、The GuardianのElisabeth UlvenとTone Sutterudが執筆し、Industry Diveパブリッシャーネットワークを通じてライセンスされたものです。ライセンスに関するお問い合わせはlegal@industrydive.comにお願いいたします。




The Guardianに2021年1月9日に掲載された記事です

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